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2004年1 月

情報浦島太郎

KNN神田@バグダッドです。

みなさん、大変ごぶさたしております。昨年から日本を離れて、
ピースボートの船にのせていただき、インド、ヨルダン経由で
イラクのバグダッドにはいりました。

日本のテレビやメディアの情報をまったくみていないので、
「情報浦島太郎」状態なのですが、バグダッドの近況報告を
させていただきます。

現地のクルド人などの情報筋によれば、フセイン逮捕劇は、
アメリカの情報操作がかなりなされているようです(この情報も
どこまで信じていいのかですが笑)。

フセイン氏は、穴の中にいたのではなく、クルド人がとある家で
捕まえたそうです。また、彼らがいうには、ビンラディン氏は、
持病でかなり前になくなっているそうですが、アメリカはうまく
生きているように利用しているともいいます。

これもどこまで信じていいのか理解しかねますが、ニュース報道を
鵜呑みにするのではなく、疑ってかかるというのも非常に重要な
リテラシーかもしれません。

また、日本のyahooニュースで「狂牛病」や「鳥インフルエンザ」らしき
ものがまたまた取り上げられており、吉野家などで、牛丼がメニュー変更
するなどのことを知りました。

バグダッド入りするのにタイでも、鳥は何の規制もされておりません。
狂牛病の牛を半額以下で提供するようなところがあっても、いいと思うのですが、
どうでしょうか?

このバグダッドでも「劣化ウラン弾」
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/du_human_effect.htm
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/uran/tokushu/index2.html
のことで被爆する恐れがあると、いいますがそれをいちいち気にしていては
取材になりません。

また、イラクでの自爆テロよりも東京都内の車による死亡事故のほうが多いのも
事実ですが、とりあげれることはありません。

しかし、ヨルダンからイラクに入りましたが、国境付近の米兵の護衛は5〜6人の
小集団であまり機能していません。夜間になると、さらにナーバスでビデオを
向けるだけで、かなりエキサイトしています。自爆テロの脅威は、きっと人数よ
りも米兵への心理戦略なのかもしれないとおもいました。

こちらのホテルでは、イラクの新政権ディナールよりも、USダラーに価値があり、
貨幣価値は、あまりフセイン政権での旧札の扱いとかわりありません。停電もし
ばしばあり、電力が安定しておらず、いつも自家発電ジェネレーターで動いてい
ます。その音がまた馬鹿でかく眠りになかなかつけません。

夜の8時以降は、かなり強盗とかも多いので、現地の人も恐れているようです。
夜間で一番怖いのは、ナーバスな米兵の自動小銃のほうかもしれません。
ボクがニコニコ近寄っているにもかかわらず、「フリーズ!」という声で威嚇し
ます。あと数歩近寄ると、威嚇射撃でもしかねない状態です。

それよりも、酒の飲めるバーなどがイスラム圏では少なく、夜の8時以降は、
とても退屈でたまりません。

世界の金のあるメディア陣は、完全24時間護衛つきのパレスティナホテルに滞在
し、フリーランスの我々だけが、民間のホテルでイラク人とともに、生活してい
ます。でも、バグダッドには日本のメディアにはすでに人気が落ちており、
主力メディアのほとんどが、日本の自衛隊取材のためにサモワ入り
しているようです。

今回はメディア報道のされ方をサーベイするために現地入りしていますが、
イラクは思った以上に平和で、阪神大震災の被害から比べると、比較にならない
ほど被害も少ないように見えます。
米国の計画的な砲撃は、狙ったビルだけを破壊しており、イスラム教のモスクな
どは、破壊せずに国民性を考えた攻撃をしているようです。

また、戦争慣れしているイラクの国民性らしく、きわめて平常時のように
イラク国民は生活しているように見えます。むしろ、経済制裁時から比較しても
物資ははるかに増えており、戦争で注目されていることが、イラク国民において
は、国益になっているのかもしれません。

わが国の自衛隊は、本当に「何しにイラクに来るの?」と質問したいくらいです。

いろいろなメディアで客観的といわれる報道がおこなわれていると思いますが、
ボクの主観と偏見に満ちた報道も、情報ソースのひとつとして、今回の自衛隊イ
ラク派遣について考えていただければと思います。

http://www.asahi.com/national/update/0128/021.htmlこんな記事もありますが、車に乗っている日本人を判明するのはむずかしく、
日本人だけでなく、英国も韓国も一緒の扱いをしてほしいものです。

夜間に一人であるいていても、テンガロンと赤ジャケットの邦人は、まったく
問題がありません。一応、バグダッド邦人のつもりなのですが…。


ヨルダンからバグダッドへ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1452   2004/01/26.Mon.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20060部
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     <赤ジャケットにテンガロンは街では一番目立っている>

■KNNエンパワーメントコラム
 ヨルダンからバグダッドへ
 神田敏晶

KNN神田です。

一体、今日は何曜日かがわからないような生活が続いている。
スケジュールはあってないようなもの。

インドのムンバイで3日並んでも、ヨルダン行きのチケットがとれず、いったん、
タイのバンコクまでもどり、カオサン通りの安宿街でチケットを取ると、翌日に
簡単に取れてしまい。安宿をキャンセルして、ヨルダンに到着!

ヨルダンにつくやいなや、とても寒くて、半ズボンにサンダル履きをさっそく着
替える。いきなりカバンを持ち、あれやこれやと世話をやいてくれるが、チップ
のおねだり攻撃が始まった。アラブ圏にはいると、これまでの東南アジアの様相
と雰囲気がガラリと変わる。

乗り合いバスでアンマン市街地へと向かう。バスの中では、コーラン(お経のよ
うなもの)の歌が鳴り響き、早くもi-podでコーランの歌を阻止する。i-podは旅
の強力なツールだ。

やはりいたイラク入りする日本人のプレスと合流して彼らの予約している安宿へ
向かう。途中で両替すると一万円がたったの52ヨルダンディナールに化けてしま
う。すごくさみしい感じだ。しかし、物価は安いので、ちょっと安心。手袋と帽
子とセーターを買って、8ディナール。

ホムスというチックピースという豆のペーストとナンに似たピーターブレッド、
そしてシシカバブとコーラで約2ディナール。インドに比べると高いが、食費も
安い。モスリム(イスラム圏)であるが、酒を飲める場所は密かにいっぱい存在
している。

頭に独特のかぶりものをしながら、水パイプを吸い、かくれてビールを飲んでい
る彼らの宗教観はなんなんだろう?当然、女性は旅行者しかいない。

ヨルダンでは、外を歩く女性は、ほとんど、布で頭を隠している。とても神秘的
である。外のレストランでは、ひげもじゃの男同士が大声でいつもたむろってい
る。女性はその場にはほとんどいない。このヨルダンでは、女性は家にいて家庭
を守るのが最大の仕事らしく、外を歩くときには、肌や顔をできるだけ露出しな
いそうだ。しかし、市場にはエロチックな女性用の下着がたくさん販売されてい
る。しかるに、外で鬱積していることが、家では相当にいやらしいことをしてい
る国民性なのかもしれない。

街角では、ニセモノDVDが1ディナールで販売される約175円。東南アジアとほぼ
いっしょだ。「タイムライン」と「キルビル」と「スクールオブロック」をお土
産に買ってみた。まともなのは「キルビル」のみで「タイムライン」は映画館で
撮影したもので、前の男の頭が時々、動く(笑)。不思議なもので、映画館で見
ているような気になる。ノイズもひどい。「スクールオブロック」は2枚組みの
CD-ROMに焼かれたもので、コマ落ちもひどくとてもみれたものではなかった。

ヨルダンで一泊すると、夜にプライベートリムジンでバグダッド行きがチャーター
できた。80ディナール。3人で割ると1000キロ近くある片道なのにとても安い。
バスだと24時間だが、リムジンでいくと15時間くらいだそうだ。

さて、22時になった。出発だ。アラビア語でなんだかドライバーとホテルのエー
ジェントがいいあらそっている。なんだか80ディナールを前金でないといけない
そうだ。そんな理不尽な話しはない。結局、いろいろと討議をかさね。半額前金。
半額はバグダッド到着後ということになった。いつも中東アラブ圏ではこのよう
な交渉ごとにまきこまれるので面倒くさい。

プロレスラーのタイガージェットシンを太らせたドライバーとプレス3人を乗せ
たリムジンという名の単なるシボレーは、アンマンをスタートしたのは11時ちか
くだった。一時間もしないうちに、ジェットシンはパン屋にのりつけ、膨大な数
のピタブレッドを購入し、後ろのトランクにつみこむ。これはきっとイラクには
パンがないものと思い、僕もパンを買いこんだ。1ディナールで山ほどピタブレッ
ドは購入できた。

夜中の2時にはヨルダンの国境に到着した。パスポートを持って、並ぶ。夜中で
もかなりたくさんの人が並んでいる。税金を払って出国。いよいよここからはイ
ラクだ。イラクに入国するとここでもパスポートを見せる。官僚的で車からオフィ
スにいって見せてもどってくるだけだ。

荷物のチェックもなにもない。テロリストは簡単に武器をヨルダンからイラクに
持ち込むことができる。途中でアメリカ兵が2人で護衛している。手には自動小
銃。さすがにアメリカのアーミーはカッコいい。ふと、小さな頃から、タミヤの
模型やGIジョー、コンバットなどで、アメリカの軍服がかっこいいと刷り込まれ
ている自分を理解した。

ジェットシンは、1時間に一度休憩するが、道路を平均150キロ、最高速は210キ
ロほど出している。ドイツのアウトバーンよりもすごい。さすが石油の国でアス
ファルトは無尽蔵にある。直線の距離が地平線のまだ向こうにまで伸びる。ジェッ
トシンが居眠り運転しないことを祈る。なんどか路肩から外れて、砂漠につっこ
みそうになるが、ジェットシンは時速200キロでイラクのアウトバーンをぶっ飛
ばす。

朝の7時頃になると、バグダッドの西のパルージャに入った。アメリカ兵の戦車
が道を封鎖。ヨルダンからの車は、道なき道を迂回して新たなバグダッドへの道
を作る。このアラブの精神はすごすぎだった。普通、通行止めであればそこでお
となしく待っているる日本人のボクにはとても彼らの行動は新鮮であった。

またしばらく行くと、戦車で封鎖。また新しい道を砂漠に作る。まるで「アラビ
アのロレンス」の気分だ。アメリカ兵に取材しようとすると、ビデオは厳禁で撮
るなと忠告される。同盟国なのに冷たい対応。

10時になるとバグダッドに到着。黒焦げになった家や砲弾で爆破されたビルを探
すが、ほとんどどこにもなし。ごく一部攻撃をされた地区をみることができるが、
ほとんどが普通の状況に見える。インドから来たせいか、インドのスラムのほう
がよほどひどい状況だ。11時、テレビの報道で有名なパレスティナホテルの前に
到着する。残りの半額をジェットシンに払い、フセイン大統領の銅像が引き倒さ
れた公園前で、ようやくバグダッドにきたことを確信する。

とりあえず、今日からの安宿さがしだ。3人で手分けして、安宿を探す。「新潮」
のライターの上原さんは、一ヶ月以上もこちらで滞在するそうなので真剣だ。タ
イから来た渡邊さんは電話があるところを、ボクはネットカフェの近所とそれぞ
れが宿をさがす。

とりあえず、一泊US30ドルのホテルをみつけ、そこに荷物を放り込んだ。バグダッ
ドは電気の供給が安定しておらず、ホテルの前では強力な自家発電のジェネレー
ターがとてつもなく、大きな音をたてており、フロントで大声で交渉し部屋に入
った。

とりあえず、お湯は5分くらい待つとでたので、シャワーをあびて、真ん中がへ
たんだベッドでも体を横にして休息をとるとあっという間に夕方である。あわて
て赤ジャケットに身をつつみ取材活動開始。

赤ジャケットにテンガロンは街では一番目立っているらしく、誰もがしゃべりか
けてくる。アラビア語はわからない…。しかし、取材するにはとても便利だ。

街角の映画館は大人気のようだ。イスラム圏でもやはり男は男で、抑制さ
れているだけその反発は大きい。このインターネットカフェ(1時間2USドル)
でもブックマークには、みみず文字(アラビアの文字)のブックマークが並んで
いる。

バグダッドに到着して数十時間たったが、バグダッドでは、何もない戦後の1日
がはじまっていた。人道支援などの意味は、このバグダッドにはないように感じ
る。インタビューした中では、戦争前の経済制裁のほうが物資は大変だったよう
だ。現在は、アメリカ兵がいるためにさらに物資が入りやすくなったという。

バグダッドの街には、バリケードにかこまれたパレスティナホテルに世界のメディ
アが暇そうに待機しているが、米国兵のいるグリーン地帯や刑務所などのほうに
いったほうがエキサイティングなようだ。

もちろん、サモアには自衛隊がきているので、一斉にそちらに300名近い取材陣
が動いているという。サモアまで南下するかどうか、ちょっと今は興味がうせて
きた。このバグダッドにいても何もエキサイティングなことはないし、サモアの
状況もほぼ読めてきた。自衛隊が来ても何も変わらないだろう。日本が協力した
という証拠づくりのためようにしか思えない。

少なくとも、バグダッドには、物資よりも、エンターテインメント用のDVDプレ
イヤーをたくさんあげたほうが支援になるんではないだろうか?

日本で報道されていることと現場の日常のギャップほど面白いものはない。

インターネットでしか日本の状況はわからないが、日本のテレビでの自衛隊派兵
はどのように報道しているのか興味ぶかい…。